ごった返す人混みの中をその流れに乗りながら入り口の石段を降りて、小さな橋を渡ってすぐの池沿いにあるベンチに腰を下ろした。

かなちゃんはぬるくなってしまったコーヒーを一口飲んで

「美味しい」

と、そう言ってからクロッキーと鉛筆を取り出し、早速デッサンに取りかかろうとしている。

「都会って感じだな」

私に背を向ける形で座りなおすとかなちゃんが呟く。

かなちゃんにならって私も視線を動かして。

同じ方向を見てみた。