「口癖じゃないけど。本当にそう思ったからさ」

かなちゃんの言葉にびっくりした。

親の前でも友達の前でも色々なことに気を回してきた私にはその言葉はとても新鮮だった。

そうか。

かなちゃんの前ではそんなことに気を回さなくていいんだ。

「うん、美味い」

かなちゃんの言葉は、一つ一つがじわりと私の胸を温めてくれる。

「ありがとう」

「何が?」

「ふふ。こっちの話し。

それより絵、随分描いたね」

「だな」

かなちゃんはそう言うとカップを机に置いて窓際へと向かう。