粉を蒸らしながら窓際に座っているかなちゃんに目を向ける。

あそこから見える景色に一目惚れして借りたのにいつからかそのことを忘れていた。

その良さが分からなくなっていた。

通りにぽつぽつと立っている桜の木も。

どこか懐かしい趣のある家も。

その中に突如現れる個性的な外装の小さなカフェも。

ここに来たばかりの頃はどれも魅力的で無条件に私をわくわくさせてくれていた。