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「何描いてるの?」

クロッキーを覗き込むと力強い線で、それでいて柔らかい雰囲気の街並みが描かれていた。

「すごい!かなちゃんまた上手くなったね」

「あ、見るなよ。まだできてないから」

「いいじゃない。場所を提供してる特権」

「何それ」

拗ねながらそう言うかなちゃんは私の知ってるかなちゃんで。

なんだか少し嬉しかった。

「かなちゃん。コーヒー飲む?」

「貰う。ありがと」