多くの人で賑わう駅前から程よく離れた静かな住宅街。

少し広めに間隔をあけて建ててある家や小さなアパート。

道路沿いに植えられた桜の木。

特別なものなんてないけどどこか落ち着く大好きだった場所。

「なのねえらしい理由だな」

そう言うかなちゃんの顔は大人びた私の知らない微笑み方をしていて。

それはやっぱり知らない人のもののようだった。