「ご馳走様」

かなちゃんはほとんど口をつけていなかったコーヒを一気に飲み干してから立ち上がる。

その慌てぶりにまただ。

と、自分を責め立てる。

鉛のようなものが体に流れ込む。

だけどそれは、全てを失った私に唯一残ったもので。

いつかのように気持ち悪さは感じなかった。

それでもー

そうか。

私はまた失ってしまうのか。