俺はそれが手から離れて、距離ができてからしか気づけなかった。 なのねえにはそうなる前に大切なものに気づいて欲しい。 「ありがとう」 車が県を越える直前。 呟きのような小さな声だったけど俺は父さんと母さんに感謝を伝えることができた。 ありがとう。 俺のことを思ってくれて。 ちゃんと尊重してくれて。 「頑張れよ」