道を歩く人。

畑を手入れしている年寄り。

自転車にまたがり並走している小学生。

名前こそ知らないけれどみんなどこかで見たことがある気がする。

この街の作り出す穏やかな空気にちょっとだけ感傷的になる。

『好きなんだ』そう言ったなのねえを思い出す。

あの時は全然理解できなかった。

だけどいまはあの言葉がストンと胸の中に落ちてくる。

なのねえはいつこの街の良さに気づいたんだろう。

ここを出る前か。

それとも後か。

前だといいな。

そんなことを思った。