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「要ー。車出すわよー」
玄関から母さんが呼んでいる。
電車で行くと言う俺に
「それくらいやらせなさい」
と、母さんに押し切られ、兄貴の家までを母さんたちと一緒に行くことになった。
東京まで車で二時間半。
たったそれだけの時間であの人たちのところまで行けるんだ。
後部座席に乗り流れていく外の景色を眺める。
くたびれたコンビニや飲食店。
遠くに見える山や畑。
見慣れた田舎ののっぺりとした景色がなんだか急にいいものに見えてくる。
いままで住んでて特別地元に愛を感じたことはなかった。
だけどいまは。
なんとなくだけど、俺は思ってたよりこの場所が好きだったのだと。
そう思う。