外から子供のはしゃぐ声が聞こえてくる。

部屋にいても外が寒いことが分かる。

子供は元気だな、なんておばさんみたいなことを考えてから自分がもう若くはないのだと思い知る。

桧山さんの寝顔に名残惜しさを感じつつも私はゆっくりとベッドから抜け出した。

瞬間。

「菜乃花?どこ行くの?」

後ろから少し掠れたいつもよりも低めの声が私を呼び止めた。

「ごめんなさい。起こしちゃいました?

ご飯の支度してきます。

桧山さんはまだ眠ってて大丈夫ですよ」

言い終わらないうちに腕を掴まれそのままベッドへと戻される。

「一緒にいて」

ずるい……。

桧山さんにこんな風に甘えられて逃れられるわけがない。