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厳しい寒さが和らいで柔らかな日差しが差し始めた頃、俺はやっと中学校を卒業した。

小・中学校とは違い、高校は住んでいる場所に関係なくみんなそれぞれ違う学校に進学する。

俺の周りには仲良しな友達と離れることを悲しむ女子や肩を組み合いテンション高く話している男子で溢れていた。

それは三年間過ごしたこの場所で初めて目にする光景で、どこか現実味がなく独特な空気が流れていた。

「要。おまえ明後日には出発するんだよな?」

「おう。母さんが今日明日くらいは家にいろってうるさいから」