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「おかえり。父さん、ちょっと話があるんだけど」

不思議と緊張することなく切り出せた自分に驚く。

「ただいま。まあなんだ。とりあえず座りなさい」

母さんが話したのだろう。

父さんの声は静かだった。

椅子に座ると父さんと母さんもその隣に座る。

「俺、東京の高校を受験する」

息を吸ってから一気に言った。

父さんは一瞬眉を動かして苦笑いをしながら低く呟いいた。