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夏のうだるような暑さが和らぎ過ごしやすい季節があっという間に意味もなく人肌が恋しくなるような寒さへバトンを受け渡した頃。

期末テストからの開放感からかもう直ぐ誕生日を迎え一つ歳を取ることへの嬉しさからかその言葉は予定よりも早く俺の口から出ていた。

「俺、東京の高校を受験する」

夕飯を食べ終え、テレビを眺めながら食器を片付けている母さんに独り言のように呟く。

自分でも思いがけないタイミングで言ってしまった。

言ってから後悔した。

まだなんの準備もできていない。

反対されても何も言えない。

武器がない。