「うん。じゃあ俺のこと、嫌いじゃないよね?」
爽やかすぎる笑顔を向けられ反射的にこくこくと頷く。
「良かった。じゃあこれからよろしくね。
菜乃花ちゃん」
本物の王子様のように笑顔を浮べた桧山さんが手を差し出してきた。
私はそれを退ける術を知らなかった。
だって、こんな笑顔でそんなことを言われたら大概の女性は断れないだろう。
むしろ大喜びだ。
そして例に漏れず私もそんな女性の内の一人だった。
仕事もできて人望も厚く加えてイケメン。
断る理由を探すことなんかできなかった。
私はおずおずと差し出された手に自分の手を重ねていた。