「それに理緒……」
えれなは泣きじゃくりながら、わたしをにらんだ。
「ひとりでいるとほっとするとか、ひとりが好きだとか……そんなことばっかり」
わたしははっとした。
「違うの! えれな、それはほんとに違う」
「何も違わない! そのまんまでしょ? それが本音なんでしょ?」
言い訳したいのに、できなかった。
その表情を見たら、えれなが怒っているのではなく、傷ついているのだとわかってしまった。
わたしの言葉がこれほど誰かを傷つけるなんて、こんなに簡単に信頼をこわしてしまうなんて。
「わたしの知らない場所を作って、こんなことばっかりつぶやいて……、ほんとにひどいよ。ひどすぎる!」
えれなの言葉はもう叫びに近かった。
「もう、理緒のことなんて、信じられないよ!」
えれなは踵を返し、走り去った。
わたしには追いかけることなんて、できなかった。
追いかける資格もないと、そう思っていた。