「これ」

「あ」と、わたしは思わず声をあげた。

そこには、体育祭のときにTシャツに使った写真がのっていた。

いかにも夏っぽく見えるように、明暗のコントラストをはっきりつけて、空に突き出された颯太くんの指がまるで何かの指標にみえるように加工した写真。


『最後まで一緒に走りたい。少しでも一緒に走れますように』


そのコメントは、団長としての責任の重さを感じている颯太くんを励ましたくて、そえたものだった。

「今月の『look at me』のインスタグラム特集に、うちの学校の子がでてるみたいだって少し話題になったの。この写真、応援団のTシャツにプリントされてたから、みんな印象に残ってたし…。それに、加工されてるけど、うちの学校の中で撮影されてるのもあるよね」

「…………」

「最初は理緒だってわからなかった。でも、これ…」

えれながさらにタップして見せたきたのは、体育祭の前日、シルバーのスパンコールを並べて撮った『FIGHT! 』の文字や、夏祭りのときの水風船の写真だった。

「これ見たら、わたしは理緒だってぴんときた」

わたしはなにをどういっていいのかわからなかった。

「ねえ、これ理緒だよね。正直に言って」

「……ごめん」