思い出したくないのに、フラッシュバックのように、さっきの颯太くんとえれなの様子が頭に浮かんでくる。わたしは目を閉じて、自分のなかからわきあがる暗い感情に耐えた。

閉会式のとき、総合優勝できなかったことに思わずほっとした自分がすごく悪者のような気がしてしまう。
ちょっと颯太くんが優しくしてくれることがうれしくて、そのうれしさを手放したくなかった。そんな自分がちっぽけに思えて、いやになる。

しょせんわたしはえれなのそばにいるから、小さく光ることのできる星でしかないのに。

わたしのことなんて誰も気にしない。乾杯のときにいなくても、誰もなんとも思わない。

わたしは夜空を見上げた。体育祭の片付けのために、グランドのライトがまだついているから、夜だというのにこうこうと明るくて、星は全然見えない。

わたしはその暗い暗い空の写真をとった。そして、加工もせずにインスタグラムに送る。インスタ上でみると、それは夜空には見えなくて、ただの暗い画面でしかなかった。


『見えない星は、存在しないのと同じ。だとしたら、生まれてきた意味ってあるのかな』