私のことを忘れてしまったなら、

また知ってもらえばいい。


約束も、もう一度すればいい。


そう思っていた。


けれどそれには、彼の同意が必要だ。


このシャイな彼とどやって距離を縮めるか、私は頭を悩ませた。



私はずっとタイミングをうかがっていた。


なんにせよ、右手の骨折が治らなければ絵も描けない。


美術の時間に彼が左手で描いていた絵を見たけど、それでも人並み以上にうまかった。




私にとってのヒントは、あの夢だけだ。



彼の視点で見ていた夢。


一緒に公園で絵を描いていた男の子は、やはりかおるくんで正解のようだった。




お姉ちゃんは立樹くんの家の近くに住んでいるし、あの公園も徒歩圏内だ。