私たちの別れは唐突に決まった。

理由はシンプルだった。

私の病状がまた悪化したから、病院の近くに引っ越すため。


もちろん、立樹くんにそれを一番に伝えた。

と言ってもほかに伝える人なんていないのだけど。


彼は、じゃあそれまでに絵本を完成させなきゃね、と笑顔で言った。



あの事件があってから、クラスメイトは私だけでなく彼からも離れていった。




私は、彼に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


でも、私が謝ると彼はこう言った。


『華乃は、なにか悪いことをしたの?

してないでしょ。だから、謝らないで。


それに、華乃のことを悪く言う人のこと、僕は好きじゃない。


だからいいんだ、これで』


立樹くんの言葉には不思議な力があった。


私のことを包み込んでくれるような温かさ。そしてそれは、笑顔にも。


本人は自覚がないようだけれど、普段は無表情が多いから、

笑顔を見せてくれたときの喜びは大きい。