「簡単だよ。
ノートの持ち主に書いて聞けばいいんだよ。
表紙に【だれ】って書いてみて。
その人が教えてくれる気になったら、それに答えてくれるはずだよ」
「な、なるほど……」
彼は、表紙に小さく【だれ】と書いた。
私は彼の素直さに思わず「ふふっ」と笑うと、その【だれ】に続けて【かの】と書いた。
彼はその様子をぽかんと見ていて、そしてわざとらしく笑う。
そう。『誰かの』。
これは確かに誰かのものだ。
私たち以外にはそういうあいまいなニュアンスしか伝わらない。
でも、私たちにとっては特別な言葉だ。
彼と私が、勇気を出してお互いに一歩歩み寄った、
証だ。
ノートの持ち主に書いて聞けばいいんだよ。
表紙に【だれ】って書いてみて。
その人が教えてくれる気になったら、それに答えてくれるはずだよ」
「な、なるほど……」
彼は、表紙に小さく【だれ】と書いた。
私は彼の素直さに思わず「ふふっ」と笑うと、その【だれ】に続けて【かの】と書いた。
彼はその様子をぽかんと見ていて、そしてわざとらしく笑う。
そう。『誰かの』。
これは確かに誰かのものだ。
私たち以外にはそういうあいまいなニュアンスしか伝わらない。
でも、私たちにとっては特別な言葉だ。
彼と私が、勇気を出してお互いに一歩歩み寄った、
証だ。