私は思わず「えっ」と声を上げた。


落書きではない。

落書きと言えるレベルではない。


ノートの右側には、息を飲むほど美しい絵が描かれていたのだ。


それから私は、ノートに物語の続きを書くと、もとあった図書室のあの場所に戻すようになった。


そして数日経って見に行くと、そこには新しい絵が描かれている。

それだけのことだけど、私はすごく嬉しかった。


誰かはわからない。

でも、絵を描いてくれたということは、少なくともこの物語に共感してくれている人ということだ。


それは物語だけじゃなくて、私自身も肯定されている気がして嬉しかった。


この人と話をしたい。

日に日にその思いは強くなっていった。