でも、その夢は私にいろんなものをもたらしてくれた。

断片的だったけれど、つながりのあるストーリーだったのだ。


眠って夢の中に入れば、あ、これは夢の続きだな、とわかった。


夢を見ている間、私は『森下華乃』であることを忘れていた。


完全に、その男子高校生になりきっていたのだ。




夢の中の私には、両親がいなかった。

交通事故で失ったらしい。


それだけでも悲しいことなのに、

さらには記憶の一部も失っていた。


しかし希望を失うことなく、おじいちゃんと一緒にふたりで暮らしていた。