チャイムを押してしばらく待つと、ゆいこさんがドアを開けた。

息を切らして玄関に立つ僕を見て、ゆいこさんは驚いていた。


「どうしたの?汗びっしょりじゃない!とりあえず中に入って」

 僕はリビングに通され、促されるままソファーに座った。

ゆいこさんは、麦茶を用意してくれている。


僕は、流れ出ていた汗をハンカチでぬぐった。

麦茶を差し出すゆいこさんに森下さんのことを聞こうとすると、かおるくんが眠そうに目をこすりながら奥の戸から現れた。


「あれ、たつき兄ちゃん」


「かおるくん、おはよう。起こしちゃったかな。ごめんね」


 かおるくんは、ううん、と首を振った。

ゆいこさんが、「いつもこのくらいに起きるのよね」と声をかける。


「かおる、立樹くんね、華乃ちゃんのことを聞きに来たのよ」