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この学校のバスケ部はたいして強くはないけど、部活をやらなければ勉強しろと煩く言われるし、中学の時もやっていたからという軽い気持ちでバスケ部に入部して一週間。


強いわけじゃないのに、部員はみんな結構真面目だ。だけど練習は特に厳しいわけじゃない。

真剣にやらなくても俺は他の一年よりも上手かったし、楽しければいいやと暇つぶし程度にこなしていた。



上級生がコートを使って試合形式の練習をしている間、俺たち一年は体育館の隅でひたすらドリブルの練習をさせられている。


こんなの中学の時に嫌というほどやらされていたのに、今さらまたやるのかよ。



「なぁ、これどうやったら安定するんだ?」

ボールを指先でクルクルと回していた俺に、そう聞いてきた。

「え?」

「だから、何回やってもすぐ乱れてくるし、どうやったら貴斗みたいに手に吸い付くみたいなドリブルが出来るんだ?」


いつの間にか俺を貴斗と呼び、汗をかいても爽やかなままのこいつは、園田修司。

高校からバスケを始めた、いわゆる初心者だ。


一年の中で初心者は修司を含めて五人、その中でも修司は毎日の練習を一番真面目に真剣に取り組んでいた。

そんなに真剣になったって、弱小高校のバスケ部じゃ大会で勝つのもひと苦労なのに。


「貴斗はほんとバスケ上手いし、羨ましいな」

額の汗を拭って俺を見た修司。

いや、俺からしてみたら、その眩しいくらい爽やかな笑顔の方が羨ましい。



「コツなんてないけど、とにかく回数こなすしかないかな。俺だって中学の時は体育館の床が抜けるんじゃないかと思うくらい、数えきれないほどドリブルの練習したし」


「そっか、やっぱ練習しかないよな。ありがとう」


口角を上げてニコッと笑う修司に、「アイドルか!」と突っ込みたくなったが、まだそこまで親しいわけじゃないから、その言葉をグッと飲み込む。