はじめまして、こんにちは、夢雨と申します。
最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。
このお話は、もとは、大切な人との大切な記憶を書きとめておくつもりで始めたものでした。作中にもありますが、年々ぽろぽろと思い出がこぼれていっているのを感じて、あ、忘れたくない、どこかに残しておきたい、と思ったのです。
いちばん最初に書き始めたのは4年前だったと思います。高校を卒業してすぐくらいか、もしくは在学中でした。その後、2回は書きかけのものを作品ごと全部消したし、このお話も何度か危うく消えかけました。自分のことってほんとにむずかしいです。
高校時代のわたしはほんとうに自分ばかりでした。いつも自分のために笑い、自分のために泣き、自分のために憤っていました。ちょっとしたことで自分が世界でいちばん不幸なんじゃないかって、バカな勘違いをしていたこともあります。
そんなわたしを笑ってくれたのが、みっちゃんという人でした。
みっちゃんは、ごくふつうの男の子です。背がひょろーっと高くて身体が薄っぺらくて、ぜんぜんイケメンじゃないし、気の利いたことはしゃべらないし、へたれだし。なのになぜかものすごいウマが合う。そして、世の中の全部をたいしたことじゃないみたいに笑っている。
わたしの面倒な部分をまるごと笑い飛ばしてくれたみっちゃんを手放して、もう4年以上がたちます。正直、しんどいことにぶちあたるたび、その選択をしたのを後悔することだってあります。
それでも、がんばってる。あ、わたしがんばれるんだなあと思う。
それはきっと、高校生だった彼といっしょに過ごした毎日が、わたしのなかに確かに存在しているからなんですよね。ああ、なくなってしまわないんだ、高校生の彼からもらったものたちだけは輝きを失わないんだ、そう気づいた瞬間、わたしは本当の意味で無敵になれました。
それでもまだまだ発展途上です。
いま、わたしの傍にはいろんな人がいてくれて、いろんな縁に恵まれて、様々なかたちの優しさがこんなわたしを支えてくれています。それはきっと、彼を手放してみなければいまだにずっと見えなかったことです。
だってきっと、いまだけじゃないんですよね。あのころだって、みっちゃんだけじゃなく、両親がいて、羽月がいて、しょうちゃんがいて、ほかにも大切な人が大勢いてくれていて……。わたしは本当にいろんなものに守られていたんだなあと、書きながら気付かされました。
本当に、大バカ野郎でした。そして、誰より幸せ者でした。
もとはみっちゃんとの大切な記憶を残しておくつもりで書き始めたお話でしたが、これはわたしにとってそれ以上に大きな意味のあるものになったように思います。
苦しかったけど、書いてよかった。
本編でもこちらでも長々だらだらいろいろ書きましたが、言いたいことはたったひとつです。
ありがとう。
みっちゃんに。あのころ傍にいてくれたみんなに。いまわたしを支えてくれるすべてに。
そして、こんなわたしの思い出話にお付き合いくださった皆さまに。
伝えきれないほどのありがとうの気持ちを、あとがきにかえさせていただきます。
ほんとうに、ほんとうに、ありがとうございました。
2017/7/18 夢雨