「かわいいなあ」
健吾くんが横から手を伸ばして、犬の顎の下をぐりぐりとなでる。
ここまでメロメロになるって、意外だなあ。
「あのね、もしかしたら靖人の家で預かってくれるかもって」
「え、ほんとか」
「大きな犬がいるんだけど、前に小型犬もいたの。飼い方わかってるから、安心だよね」
「だな」
ほっとしたように息をつく。
おばさんから、仕事中であるおじさんにも確認をしてくれているらしく、今はそれの返事待ちだ。
もしかしたらそろそろ連絡が来ている頃かも、とポケットを探ったら、ちょうど数分前にメッセージが届いていた。
「預かってくれるって!」
よかった、万歳!
犬がカツカツとメガホンをぶつけてくるのをよけながら、お礼の返信をしようとして、気がついた。
健吾くんが無言だ。
見ればなにやら、深刻な表情で固まっている。
まさか、手放したくないとか言いださないよね…。
「大丈夫ですか」
顔の前で手をひらひらさせると、はっとしたように「あ、うん」と背筋を伸ばす。
そして意を決したように言った。
「そうと決まれば、俺はもうそいつを抱かない」
「えっ、そんな極端な。抱っこくらいいいと思うよ、ほら」
「やめろ、こんな臨時の飼い主、懐かせたってかわいそうだろ」
ぎゅっと目を閉じて、犬を突っ返してくる。
どんな真面目さなの。
これは、早めに靖人の家に連れていってあげたほうが、本人にも健吾くんにもいいかもしれない。
「今日中に預けていいか、訊いてみるね」
「頼む。ケージとかひと通りそろってるから」
「健吾くんが買ったの?」
「だって病院で、必要だって言われたからさ。一気に全部そろえると、けっこうするな、やっぱり」
健吾くんが横から手を伸ばして、犬の顎の下をぐりぐりとなでる。
ここまでメロメロになるって、意外だなあ。
「あのね、もしかしたら靖人の家で預かってくれるかもって」
「え、ほんとか」
「大きな犬がいるんだけど、前に小型犬もいたの。飼い方わかってるから、安心だよね」
「だな」
ほっとしたように息をつく。
おばさんから、仕事中であるおじさんにも確認をしてくれているらしく、今はそれの返事待ちだ。
もしかしたらそろそろ連絡が来ている頃かも、とポケットを探ったら、ちょうど数分前にメッセージが届いていた。
「預かってくれるって!」
よかった、万歳!
犬がカツカツとメガホンをぶつけてくるのをよけながら、お礼の返信をしようとして、気がついた。
健吾くんが無言だ。
見ればなにやら、深刻な表情で固まっている。
まさか、手放したくないとか言いださないよね…。
「大丈夫ですか」
顔の前で手をひらひらさせると、はっとしたように「あ、うん」と背筋を伸ばす。
そして意を決したように言った。
「そうと決まれば、俺はもうそいつを抱かない」
「えっ、そんな極端な。抱っこくらいいいと思うよ、ほら」
「やめろ、こんな臨時の飼い主、懐かせたってかわいそうだろ」
ぎゅっと目を閉じて、犬を突っ返してくる。
どんな真面目さなの。
これは、早めに靖人の家に連れていってあげたほうが、本人にも健吾くんにもいいかもしれない。
「今日中に預けていいか、訊いてみるね」
「頼む。ケージとかひと通りそろってるから」
「健吾くんが買ったの?」
「だって病院で、必要だって言われたからさ。一気に全部そろえると、けっこうするな、やっぱり」