「図書室ってどこだっけ」

「お前ほんとにここの3年?」

「間違えた。卒アルって図書室にあったっけって訊きたかったの」

「だいぶ間違えたな」



早く行きたくてそわそわ足踏みする私を、靖人が購買のパンを食べながら怪訝そうに見る。



「でも質問自体はいいとこ突いてる。実は図書室にはない」

「なんと!」

「卒アルがあるのは、第二資料室だ」

「出るって噂のとこじゃん…」

「ちなみになんで俺が知ってるかというと、卒アル委員だからだ」

「自分が写りそびれるっていうの、あるあるだよね」



今度の野球の試合のとき、カメラを預かって、本人も含め、いろいろ撮っておいてあげよう。



「第二資料室って、それこそどこだっけ」

「鍵がいるから、連れてってやるよ、なにが見たいんだ?」



えーっと。

目をそらすと、ふんと鼻で笑われる。



「なんつって、どうせ"健吾くん"絡みだろ。顔見りゃわかる」

「さすが靖人、私の理解者」

「嫌味だからな?」

「私もだよ?」



チッと舌打ちして、靖人は鍵を持っているという卒アル委員長の教室へ向かった。



「う、うおお…」

「吠えんな」

「かわいい」



第二資料室は、埃だらけで日差しも入らなくて、空気も悪くて散らかっているという最悪な部屋だった。

そんな中、アルバムの中の健吾くんは、まばゆいばかりだ。

制服着てるよ…。

思ったほど今と差がなくて、すぐ見つかった。



「この頃のほうが、やんちゃっぽいなあ」

「今はそれなりに、ビジネスマンに見えるもんな」

「見えるんじゃなくて、ビジネスマンなの」

「ロリコンのな」



本気で当たればいいと思って繰り出したパンチは、顔の前で苦もなくキャッチされてしまった。