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夏休みは呆気なく終わり、二学期が始まった。
始業式の日の午後に実力テストがあり、翌日からは普段通りの六時間授業。
いきなりいつも通りの学校生活のペースに戻さないといけないので、なかなか大変だ。
放課後は毎日美術室へと直行してそのまま帰宅時間のぎりぎりまで居座っていた。
来週末の文化祭に向けて、展示する作品の本格的な仕上げに入っているのだ。
そんなこんなで慌ただしい毎日を送っていた。
「あーあ、夏休み終わっちゃったな」
遥が気の抜けたような顔をして、紙パックのジュースをじゅっと吸う。
「ほんと、あっという間だよね」
と私も調子を合わせた。
遥は「ほんと夏休みなんて一瞬だった」と嘆いてから、
「でも、授業は大変だけど、英語では彼方くんに会えるから、いいや」
ころっと表情を変えて、嬉しそうに笑った。
どきりとして思わず、横に座る香奈の顔色をうかがってしまう。
香奈は菜々美と話していて、こちらの話題には気づいていないようでほっとした。
「次は英語だから、一ヶ月以上ぶりに彼方くんに会える。やばい、なんか緊張してきた」
一ヶ月以上、という遥の言葉に、ほぼ毎日のように会っていた私は申し訳なさを感じた。