「なに、なんで遠子が彼方くんと話してたわけ?」
香奈がこちらへ近づいてくる。
私は彼女から見られない位置にスケッチを隠した。
「いや、あの、陸上部の練習場所が近いから、たまたま……」
私は彼方くんがいるあたりを指差した。
彼は棒高跳びの道具の準備をしている。
それを見た香奈は、「ふうん?」と眉をひそめたまま呟いて、それから私に視線を戻した。
「まあ、いいけど。ねえ、遠子」
「……うん」
「遥のこと、応援してるよね?」
私を見つめる香奈の瞳は、私の心を確かめるように、覗き込むように、静かに突き刺さった。
私はこくこくとうなずく。
「もちろんだよ。だって私は遥のこと大好きだし」
「だよね。遥が彼方くんとうまくいくように協力するよね?」
「うん、うん」
返事が必死すぎて疑われるかも、と不安になったけれど、香奈はしばらく私を凝視してから、にこっと笑った。
可愛いけれど、どこか目が笑っていない気もした。
「そ。なら、安心した。彼方くんと仲良くなって遥と近づかせてあげようとしてるんだよね?」
「……う、ん」
「でもさ」
香奈が笑ったまま首をかしげる。
「あんまり仲良くなりすぎたらだめだよ?」
冷や汗がこめかみを伝うのを感じながら、私は何度も頷いた。
じゃね、と笑いながら香奈は去っていった。
香奈がこちらへ近づいてくる。
私は彼女から見られない位置にスケッチを隠した。
「いや、あの、陸上部の練習場所が近いから、たまたま……」
私は彼方くんがいるあたりを指差した。
彼は棒高跳びの道具の準備をしている。
それを見た香奈は、「ふうん?」と眉をひそめたまま呟いて、それから私に視線を戻した。
「まあ、いいけど。ねえ、遠子」
「……うん」
「遥のこと、応援してるよね?」
私を見つめる香奈の瞳は、私の心を確かめるように、覗き込むように、静かに突き刺さった。
私はこくこくとうなずく。
「もちろんだよ。だって私は遥のこと大好きだし」
「だよね。遥が彼方くんとうまくいくように協力するよね?」
「うん、うん」
返事が必死すぎて疑われるかも、と不安になったけれど、香奈はしばらく私を凝視してから、にこっと笑った。
可愛いけれど、どこか目が笑っていない気もした。
「そ。なら、安心した。彼方くんと仲良くなって遥と近づかせてあげようとしてるんだよね?」
「……う、ん」
「でもさ」
香奈が笑ったまま首をかしげる。
「あんまり仲良くなりすぎたらだめだよ?」
冷や汗がこめかみを伝うのを感じながら、私は何度も頷いた。
じゃね、と笑いながら香奈は去っていった。