遥はぶんぶんと首を横に振っている。

それでも香奈と菜々美は「大丈夫だって」「告ってみないとわかんないじゃん」と言い募った。


「ね、遠子もそう思うでしょ?」


いきなり香奈が私に問いかけてきたから、どきりとして声をあげてしまった。


「だってほら、遠子がいちばん遥との仲、長いでしょ? 遥のことよく知ってるもんね」

「そうそう。遥なら告白しても絶対成功するよね」


私は微笑んで「うん」と笑った。


「遥は可愛いし、本当に性格もいいもん。きっと大丈夫だよ」


こういうとき、女子というのは難しいなと思う。

たぶん、二人とも本気で『絶対成功する』なんて思っていないはずだ。

だって、告白して成功するかどうかなんて、誰にも分からないんだから。


それでも女子は、『あなたなら大丈夫』と、無責任ともいえる励ましをするのだ。


私はそんな無責任なことは言いたくないと思っているけれど、この空気の中で『それは分からない』だなんて言う勇気はなかった。


でも、遥なら大丈夫、と思うのは本当だ。

だって、誰よりも私が知っているから。

遥が本当に素敵な女の子だということ。


明るくて、いつもにこにこしていて、優しくて、誰にでも平等に接する。

見た目だって、さらさらの髪に色白な小さい顔、華奢なスタイルで、笑うとえくぼができて最高に可愛い。


私が男の子だったら絶対に好きになる。