こんな幸せな日々が続くようになって、もう二週間。
でも、まだ夢を見ているようだった。
柔らかくて、甘くて、幸せな夢。
確かに現実だと分かっているけれど、分かっているのに現実味がなくて、ふわふわしていて。
それでもいい。
たとえ、これが夢でも。
夢だとしても、私は今、これまでの人生で一番幸せだった。
窓の外を見る。
いつの間にかウォーミングアップの時間が終わり、彼方くんは棒高跳びの練習を始めるところだった。
グラウンドの真ん中から移動してくる彼の姿が、少しずつ大きくなってくる。
目が逸らせなくて、思わずじっと見つめてしまった。
すると彼方くんもこちらに気づいて、軽く手をあげて笑ったのが分かった。
心臓が大きく跳ねる。
頬が熱くなって、頭がぼんやりしてきた。
なんとか手を振り返して、いたたまれなさに視線を落としてから、慌ててスケッチブックを閉じる。
そのまま胸に抱き締めて、ふうっと息を吐いた。
そのとき、机の上に置いていた鞄の中で携帯が震える音がした。
取り出して画面を見た瞬間、今までの幸福で満ち足りた気持ちが一瞬にして凍りつく。
「……遥」
今、一番見たくない名前が表示されていた。
でも、まだ夢を見ているようだった。
柔らかくて、甘くて、幸せな夢。
確かに現実だと分かっているけれど、分かっているのに現実味がなくて、ふわふわしていて。
それでもいい。
たとえ、これが夢でも。
夢だとしても、私は今、これまでの人生で一番幸せだった。
窓の外を見る。
いつの間にかウォーミングアップの時間が終わり、彼方くんは棒高跳びの練習を始めるところだった。
グラウンドの真ん中から移動してくる彼の姿が、少しずつ大きくなってくる。
目が逸らせなくて、思わずじっと見つめてしまった。
すると彼方くんもこちらに気づいて、軽く手をあげて笑ったのが分かった。
心臓が大きく跳ねる。
頬が熱くなって、頭がぼんやりしてきた。
なんとか手を振り返して、いたたまれなさに視線を落としてから、慌ててスケッチブックを閉じる。
そのまま胸に抱き締めて、ふうっと息を吐いた。
そのとき、机の上に置いていた鞄の中で携帯が震える音がした。
取り出して画面を見た瞬間、今までの幸福で満ち足りた気持ちが一瞬にして凍りつく。
「……遥」
今、一番見たくない名前が表示されていた。