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「……やばい! 近くで見たらやっぱりめっちゃ格好よかった!」
彼方くんたちが出ていってしばらくしてから、遥が堪えかねたように叫んだ。
他のクラスで授業を受けて戻ってきた香奈と菜々美が「なになに?」と興味津々の表情で集まってくる。
私は数歩下がり、二人の入る空間をあけた。
彼女たちは遥の周りを取り囲むように立ち、秘密の打ち明け話をするときのように顔を寄せた。
「もしかして、彼方くんとお近づきになっちゃった?」
「うん、なれちゃった! 少しだけ、だけど」
「へえ、すごいじゃん。自分から話しかけたの? よくやったね」
偉い偉い、と褒めるように菜々美が遥の頭を撫でた。
「うん、話しかけたっていうかね。遠子が彼方くんの落とし物、見つけてくれて。だから、それを拾って声かけたの」
「へえ、すごい。ナイスタイミングだね」
と菜々美が目を丸くする。
「遠子、グッジョブ!」
香奈がそう言って私に抱きついてきた。
びっくりして肩が震えてしまったものの、なんとか平静を保つ。
私はあまり友達が多くないし、これまで仲良くしてきたのはどちらかというと大人しいタイプの子が多かったから、こういうふうに接触してくるようなコミュニケーションには慣れていなかったのだ。