遥がちらりと私を見て、少し苦く微笑む。
それから意を決したように息を吐いて、「彼方くん」と呼びかけた。
彼が目を丸くして遥を振り返る。
「あ、えーと……確か、C組の」
「広瀬遥です。あの、消しゴム、落ちてたんだけど、彼方くんのじゃない?」
遥は緊張のせいかいつもよりも早口で言い、拾った消しゴムを彼方くんに差し出した。
彼方くんが「あ」と声をあげて、机の上の筆箱を少し見てから、「俺のだ」と言った。
「ごめん、全然気づかなかった。ありがとう、助かった」
彼方くんは、太陽のような明るい笑顔で遥に笑いかけ、消しゴムを受け取る。
そのとき、彼方くんの指先が、遥の手のひらに軽く触れたのを、私の目ははっきりと見た。
遥は照れたように頬をほんのりとピンク色に染め、「どういたしまして」と微笑んだ。
一瞬、二人が見つめ合う。
私の目には、背景にきらきらと光の粒が舞っているように見えた。
なんてお似合いの二人なんだろう。
彼らが向かい合って立ち、視線を交わしているのは、とても自然なことに思えた。
きっとこの二人は付き合うことになるのだろう、と思った。
そして、私はかたわらでそれを見続けることになるのだろう。
それは予感だ。
素晴らしくて嬉しくて、苦しくて切ない予感。
それから意を決したように息を吐いて、「彼方くん」と呼びかけた。
彼が目を丸くして遥を振り返る。
「あ、えーと……確か、C組の」
「広瀬遥です。あの、消しゴム、落ちてたんだけど、彼方くんのじゃない?」
遥は緊張のせいかいつもよりも早口で言い、拾った消しゴムを彼方くんに差し出した。
彼方くんが「あ」と声をあげて、机の上の筆箱を少し見てから、「俺のだ」と言った。
「ごめん、全然気づかなかった。ありがとう、助かった」
彼方くんは、太陽のような明るい笑顔で遥に笑いかけ、消しゴムを受け取る。
そのとき、彼方くんの指先が、遥の手のひらに軽く触れたのを、私の目ははっきりと見た。
遥は照れたように頬をほんのりとピンク色に染め、「どういたしまして」と微笑んだ。
一瞬、二人が見つめ合う。
私の目には、背景にきらきらと光の粒が舞っているように見えた。
なんてお似合いの二人なんだろう。
彼らが向かい合って立ち、視線を交わしているのは、とても自然なことに思えた。
きっとこの二人は付き合うことになるのだろう、と思った。
そして、私はかたわらでそれを見続けることになるのだろう。
それは予感だ。
素晴らしくて嬉しくて、苦しくて切ない予感。