私のことを本当に心配してくれて、

息切れするくらいに走り回って探してくれて、

何もないとわかったら心から安堵してくれる。


屈託のない笑顔を私だけに向けてくれる。



「あっ、今日すごい、雲ひとつない青空」


彼方くんが真上を指差した。

私も彼方くんの隣に寝転がって空を見上げる。


マリンブルーのような鮮やかな青空だ。


「きれいだな」


彼方くんが向日葵のような笑顔で私を見つめた。

私はこくりと頷いて、頷きながら、ああ、やっぱり、と思った。



ああ、やっぱり、彼方くんが好きだ。

どうしようもなく好きだ。


好きになってはいけないと思っても、

この想いは消さなきゃと思っても、


どうしても消せなかった。

白く塗りつぶすことなんてできなかった。


あまりにも強くて、深くて、色鮮やかな『好き』だから。

今まで人生ではじめての、どうにもならない『好き』だから。


「……彼方くん、あのね」


私は隣で寝転ぶ彼方くんに声をかける。


「お願いがあるの」


彼方くんが「なに?」と笑った。


「きみの空を、見せてほしいの」


きみの空? と彼方くんが目を丸くした。