最低だ、私は。


大切な遥が泣くほどショックを受けているというのに、喜ぶなんて。

自分がこんなに嫌な人間だったなんて、こんなに汚い人間だったなんて、知らなかった。

知りたくなかった。


彼方くんにも恋をして、知ってしまった。


「……ごめんね。こんな話されても、困っちゃうよね。ごめん」


うつむいて言った遥は、しばらくしてから顔をあげた。

もう涙は乾いていた。


「さて、そろそろクラスの当番の時間だから、行くね」

「こんなときまでクラスのことなんか気にしなくていいのに」

「ありがと。でも、何かしてたほうが気が紛れるし」


じゃ、行ってくる、と遥は手を振って走って行った。


でも、私はなかなか立てなかった。

うずくまったまま、唇から嗚咽を洩らし、自己嫌悪と戦っていた。


自分に心底嫌気が差した。

親友のことよりも自分のことを優先してしまう自分が嫌だった。

親友の不幸を喜んでしまう、意地汚い自分の心が嫌だった。


そんな人間にはなりたくないと思っていたのに、そう思わないようにしようとずっと自分に言い聞かせていたのに

本当に心って思い通りにならない。