「えーマジっ!? 鞠子はそれ知ってた!?」
明菜に聞かれておずおず頷くと、そっっかマジなんだー、って驚きと貧乏に対する同情と、ちょっとした優越感が三人の間に広がっていく。いつも化粧ばっちりだけど実はすっぴんでも全然勝負できる整った顔立ち、中学二年生とは思えないほど成長した色っぽい体。容姿では絶対勝てないと思ってたエリサに、勝てるものがあった。そのことがプライドに塗りこまれた中学二年生の女心を喜ばせる。増岡が意地悪な顔のまま笑ってた。
「なんだよお前ら、そんなことも知らないで友だちやってたの? ほんと、うわべだけの友だちだな。怖い怖い、女は怖いよー」
「そう言う増岡だって普段はエリサの前で鼻の下伸ばしちゃってるくせに、さっきから悪口言いまくりじゃん、頭イカれてるだの今にも潰れそうだのって」
桃子に反撃を食らい、増岡は誰が鼻の下伸ばしてんだよあんな底意地悪い女ぜってー無理、と更なる毒舌を吐いて、みんな何が面白いのかその毒舌にきゃらきゃら笑ってた。
「あたし、宿題やってないから、やんなきゃ」
みんな陰口に夢中になり過ぎで、あたしがそうやって一人輪から離れても誰も咎めない。自分の席に座り、ごそごそと英語の教科書を開きながら視界の端っこで、エリサを生贄に盛り上がるみんなを窺う。
とっくにわかってるつもりだったけど、改めて人間って怖いな、って思ってしまった。男子も女子も、誰もがお腹の底にほんとの気持ちを押し込み、仮面を被ってヘラヘラ笑いながら目の前の人と向き合ってる。本音では誰にどう思われてるかなんて、わかったもんじゃない。そう言うあたしだって、自分の身を守るために簡単にエリサを見離せる腹黒さを持ち合わせているわけだから、人のことは言えないんだけど。
明菜に聞かれておずおず頷くと、そっっかマジなんだー、って驚きと貧乏に対する同情と、ちょっとした優越感が三人の間に広がっていく。いつも化粧ばっちりだけど実はすっぴんでも全然勝負できる整った顔立ち、中学二年生とは思えないほど成長した色っぽい体。容姿では絶対勝てないと思ってたエリサに、勝てるものがあった。そのことがプライドに塗りこまれた中学二年生の女心を喜ばせる。増岡が意地悪な顔のまま笑ってた。
「なんだよお前ら、そんなことも知らないで友だちやってたの? ほんと、うわべだけの友だちだな。怖い怖い、女は怖いよー」
「そう言う増岡だって普段はエリサの前で鼻の下伸ばしちゃってるくせに、さっきから悪口言いまくりじゃん、頭イカれてるだの今にも潰れそうだのって」
桃子に反撃を食らい、増岡は誰が鼻の下伸ばしてんだよあんな底意地悪い女ぜってー無理、と更なる毒舌を吐いて、みんな何が面白いのかその毒舌にきゃらきゃら笑ってた。
「あたし、宿題やってないから、やんなきゃ」
みんな陰口に夢中になり過ぎで、あたしがそうやって一人輪から離れても誰も咎めない。自分の席に座り、ごそごそと英語の教科書を開きながら視界の端っこで、エリサを生贄に盛り上がるみんなを窺う。
とっくにわかってるつもりだったけど、改めて人間って怖いな、って思ってしまった。男子も女子も、誰もがお腹の底にほんとの気持ちを押し込み、仮面を被ってヘラヘラ笑いながら目の前の人と向き合ってる。本音では誰にどう思われてるかなんて、わかったもんじゃない。そう言うあたしだって、自分の身を守るために簡単にエリサを見離せる腹黒さを持ち合わせているわけだから、人のことは言えないんだけど。