「そうかなぁ。今日なんて文乃、うちらのこと完全にスルーじゃん。鞠子はああいうのムカつかないの?」
「そりゃあちょっとはムカつくけど」
「でしょでしょ? あたしはさ、みんなをムカつかせたいんじゃなくて、みんなにもっと楽しんでほしいの。文乃を使ってね。今のまんまじゃつまんないもん」
つまんないならやめればいいじゃん。という言葉を飲み込む。みんなにもっと楽しんでほしいんじゃなくて、みんなを楽しませることで自分がみんなの中心にいたいんでしょう、という言葉も。エリサに本当の気持ちを言っちゃいけない。エリサといる時は常に、わがままなこの子の機嫌を取らなきゃいけない。だってあたしはエリサの親友なんだから。エリサに一番近い存在があたしなんだから。
ほんとに言いたいことを喉元に留めて無難な台詞を探していると、山村先生の声に助けられた。
「あらあら、そこは練習しないでしゃべってばっかりだねー。来週は倒立前転のテストやるのに、いいのかなぁ」
「はあっ何それ!? 聞いてないしマジで!!」
「うっそーそんなの初耳! 先生、いつ言いましたぁ?」
「さっき言ったじゃんさっき。君たちが聞いてなかっただけぇー」
明菜たちがぶうぶう文句を言いつつもようやく重い腰を上げ、マットに向かう。エリサも渋々、って感じで立ち上がった。吐き出せない不満でほっぺたがむっつり膨らんでいる。そういう顔をしていてもさすが、美少女は可愛い。
体育館の端っこ、使わないマットが積み上げられている見学者席で、所在なさげに座ってる文乃が見えた。ハーフパンツをエリサにぐちゃぐちゃにされてしまったせいで、体育に出れない文乃。ほんと、バカでブスでグズで暗くて、みじめな子だ。
ああいうふうになりたくないから、あたしはエリサと一緒にいる。
「そりゃあちょっとはムカつくけど」
「でしょでしょ? あたしはさ、みんなをムカつかせたいんじゃなくて、みんなにもっと楽しんでほしいの。文乃を使ってね。今のまんまじゃつまんないもん」
つまんないならやめればいいじゃん。という言葉を飲み込む。みんなにもっと楽しんでほしいんじゃなくて、みんなを楽しませることで自分がみんなの中心にいたいんでしょう、という言葉も。エリサに本当の気持ちを言っちゃいけない。エリサといる時は常に、わがままなこの子の機嫌を取らなきゃいけない。だってあたしはエリサの親友なんだから。エリサに一番近い存在があたしなんだから。
ほんとに言いたいことを喉元に留めて無難な台詞を探していると、山村先生の声に助けられた。
「あらあら、そこは練習しないでしゃべってばっかりだねー。来週は倒立前転のテストやるのに、いいのかなぁ」
「はあっ何それ!? 聞いてないしマジで!!」
「うっそーそんなの初耳! 先生、いつ言いましたぁ?」
「さっき言ったじゃんさっき。君たちが聞いてなかっただけぇー」
明菜たちがぶうぶう文句を言いつつもようやく重い腰を上げ、マットに向かう。エリサも渋々、って感じで立ち上がった。吐き出せない不満でほっぺたがむっつり膨らんでいる。そういう顔をしていてもさすが、美少女は可愛い。
体育館の端っこ、使わないマットが積み上げられている見学者席で、所在なさげに座ってる文乃が見えた。ハーフパンツをエリサにぐちゃぐちゃにされてしまったせいで、体育に出れない文乃。ほんと、バカでブスでグズで暗くて、みじめな子だ。
ああいうふうになりたくないから、あたしはエリサと一緒にいる。