許されると知って河野の目が輝いている。これからどんなことをされるか、どんな地獄が待っているかも知らないで。

 ほんと、障がい者って可哀想なんだな。普通の人だったらこうはいかない、こんなに単純じゃなくて、きっともっと何かいい方法を自分の頭で考えつく。でも河野は生まれつき、そんな器用には生きられないんだ。あぁつくづく馬鹿って可哀想。

「わかった、じゃあいいこと教えてあげる」

 河野の顎を持ち上げてぐいと引き寄せると、許される喜びに輝いていた河野の顔が引きつった。初めて河野がわたしに恐怖を覚えた瞬間だった。

「あんたが希重の持ち物を盗むのは、希重が好きだからなんかじゃない。あんたが変態だから」
「変態……」

「変態も意味わかんないんだ? じゃ、教えたげる。変態はね、この世から一番嫌われる存在なの。一度変態だって言われたら、人生は終わり。一生牢屋の中で過ごすことになる。遊ぶこと、自由、何ひとつないの。わかる?」