「・・・ケンカしちゃった」


突然、隣を歩く友季子がつぶやくように言った。


「え? 橘さんと?」


「うん。なんか怒らせちゃった。だから、寝不足・・・・・・」


しょげた顔で言う友季子。

眠いだけかと思ったら、元気なかったのか。


「大丈夫?」


「わかんない。だって、急に怒り出すんだもん」


「そっか・・・・・・」


なんだか、しょげている友季子が急に大人に見えて戸惑う。

・・・こんな表情するんだ。

それは、やっぱり恋をしているから?

意を決して、尋ねてみる。


「ね、橘さんとさ・・・・・・。つきあ合ってたりすんの?」


「うん」


こともなげにうなずく。


「そうなんだ」


あぁ、なんだか友季子が遠くに行ってしまうような気分。

いつも通りそばにいるのに、嫉妬してるみたいでイヤだな。