「いや、言ってない」


「そう・・・・・・」


・・・良かった。

昔から、『寝言がひどい』って親から言われてたし。

少し安心してカバンを手にとって、ドアに向かおうとする。


「イビキはすごかったぞ」


結城のそっけない声。


「え?」


聞きかえす私の目の前で、ドアは無情にも閉められた。




朝食を済ませると、私は友季子を起こしに行く。

低血圧の友季子を起こすのは、至難のわざだ。

毎朝のことながら、とっても大変。

今日も、ケータイを鳴らしながらドアを打ち鳴らしつづけ、ようやく起きてくれた。

準備ができて、寮から出るころには毎回遅刻寸前ってかんじ。

今日もひどい顔。

毎朝の寝ぐせが、まるでアート作品のようで楽しい。