「そのうち眠れるから」


「ああ」


顔が見えないと、声だけが情報のすべてになる。

その言い方は、やさしく耳に届いた。

目を閉じた私に、結城の声がまた聞こえる。


「巻き込んでしまって・・・・・・悪かったな」


「・・・大丈夫だよ」


そう言いながら、なぜか私は泣きたい気持ちでいっぱいだった。





夢からぼんやりと覚醒すると、部屋の中は朝の光で明るくなっていた。

いつもの習慣で、ベッドの上に置いていた目覚まし時計を見る。

6時10分。

・・・あとちょっとは眠れる。

体の向きを変えたとき、心臓がドクンと音をたてた。

結城が、すぐ下で寝ている!

びっくりして声が出そうになった。

そうだった。

昨日のことを思い出し、ドキドキする胸を落ち着かせながら結城を見る。

顔を少し向こうに向けた結城は、深く眠っているようだ。

胸が規則正しく上下している。