「考えていても仕方ない。今はできるだけ考えずに寝るんだ。捜査は警察にまかせろ」


そう言うと、もう目を閉じている。

・・・そんなこと言ったって。

口をとがらせて結城を見るが、それに気づいたのか、

「まぶしい」

と、ひとこと。


「はいはい」


壁のスイッチを押して、電気を消す。


訪れる暗闇。


ベッドに横になると、すぐ斜め下に結城の姿がぼんやり見える。

捜査を進めるなら、私の身の安全は保障しないって書いてあった。

これから先、いつまで結城はここにいることになるんだろう?

鼻から息を吐き、あおむけになる。

・・・江梨子。

考えないようにするには、あまりにもむずかしい。

あの財布がぽつんとベンチにある光景が、どうしても目に浮かんじゃう。

同じようにひとりぼっちなのかな。

あれから、もうずいぶん時間がたつような気もするけれど、つい最近の出来事なんだよね。


それだけ、いろんなことがあったから。