ぼんやりと天井を見つめる。

江梨子は、今どんな夜を過ごしているのだろう?

ちゃんとご飯食べさせてもらっているのかな。

優しくしてもらえてるのかな。

結城は捜査を進めているって言ってたけれど、実際、犯人のめぼしはついているのだろうか。

『人身売買』なんて、リアルじゃなくって実感わかないけど・・・・・・。


ガチャッ


音がして、私はあわてて起きあがった。

いつの間にかシャワーの音が止んでいる。

頭をタオルで拭きながら結城が部屋に入ってくる。


「先、借りたぞ」


「う、うん」


結城は黒いTシャツに、ジャージのズボンを履いていた。

スーツ以外の恰好ははじめてで、濡れた髪の毛がいつもと違って新鮮に見えた。

ラフな格好が、まるで違う人みたい。

Tシャツからのぞいている意外に太い腕。

・・・あ、メガネもかけてないんだ。