「先、入るか?」


「先!?」


先とか後とかって、なんなの!?

心臓がヤバいって!


「いちいちくり返すな」


結城はそう言うと、ドアの向こうに消えていった。


「私、もう入ったから・・・・・・」


つぶやくように言う私の声は聞こえなかっただろう。

姿が見えなくなると、しばらくしてカチャカチャというベルトをはずす音。

キュッキュッという蛇口をまわす音がして、すぐにシャワーの音が聞こえた。


「壁、薄いからなぁ」


トイレはこれから友季子の部屋のを借りよう。

ふと、隣の部屋から声が聞こえた。

友季子がまた橘と電話をしているのかな。

あのふたり、仲が良いようだけど、ひょっとしてつき合ってたりして。

明日にでも聞いてみよう・・・・・・。


ベッドに横になる。


その間もシャワーの音が途切れなく聞こえている。