「琴葉、良かったわねぇ」


友季子がにっこり笑いかけてくるのを軽くにらみながら、私はふたりに言う。


「あのね、ほんと一緒に住むとか無理。毎朝、下に降りてきたら結城さんがいるなんてありえないし」


「大丈夫よ」


「大丈夫だ」


・・・なに、このふたり。

すっかり意気投合しちゃってるし。


「琴葉。俺は、お前を守らなくてはならない。巻き込んだのは俺だ。だから、イヤかもしれないが、しばらくはここの食堂ででも寝泊りさせてもらう」


あの大きなスーツケースは、そういうことだったのか……。

よしこちゃんがグラスに何杯目かの焼酎を注ぎながら言う。


「刑事さん・・・・・・結城さん、ね。本当に彼女を守るなら、きちんと守ってもらうわよ」


「もちろんです」


姿勢を正して、結城はうなずく。


「それじゃあ」


よしこちゃんは、私を見て、そして結城に視線を移すと大きな口を開けてにっこり笑った。


「同じ部屋で寝泊まりしてちょうだい。その方がきちんと守れるでしょ」