3、

「どうぞ」


テーブルに置かれたコーヒーにも気づかないくらい、結城は呆然とした顔をしていた。

ぽかんと、よしこちゃんを見あげている。

それもそのはず。

寮母がどうみたって、いかつい男なのだから。


「あら、刑事さん。私のことがタイプなのかしら?」


正面に腰かけたよしこちゃんがウインクをすると、

「あ、いえ・・・・・・」

と、あわててコーヒーを飲み、熱さに目を白黒させている。

いつもの冷静さも、さすがにこのインパクトにはかなわないらしい。

橘との電話が終わったらしい友季子も合流して、私たちはキッチンにあるテーブルに座っている。

「よしこちゃん、からかっちゃだめ」

隣に座った友季子が肘でつっつくと、

「だってぇ、かわいいじゃないの~」

と、猫なで声を出している。

ヘビににらまれたカエルみたいに、それでもよしこちゃんから目を離せない結城。


・・・しょうがない、助け船を出すか。


「結城さん、さっきの話どういうこと?」


隣からのぞきこむようにして尋ねる。