「・・・もしもし」


おそるおそる出てみる。


『おい、すぐに電話に出ろよな。なんかあったかと思うだろうが』


不機嫌そうな声。

この声・・・・・・。

胸のあたりが軽くしめつけられるような苦しさ。


「あ、結城さん?」


その声によしこちゃんが私を見たかと思うと、ゆっくり笑顔になり何度も深くうなずいている。


「ちょ、ちがう、ちがうって」


あわてて手を横にふるが、なんだかマリア様のようなほほ笑みでうなずくばかり。


『は? 誰としゃべってんだ、お前』


「な、なんでもない。てか、なんで私の番号知ってるのよ」


『ま、俺は刑事だからな』


「そういうの、勝手に調べたりするわけ? 個人情報が保護される権利はあるってテレビで言ってたよ」


なんで、私はこの人にはすぐ反抗しちゃうんだろう?


きっと・・・・・・。

ううん、ちがう。


この人がそういう言い方をさせるんだ。