「うん」

開けた窓から心地よい風が入ってくる。


「この事件・・・・・・。1か月で4人の女子高生が行方不明になっているでしょう?」


「うんうん」


身を乗り出してよしこちゃんに近づく。

香水の匂いがほのかに香った。


「短期間で、これだけの人数を誘拐するってことは、単独犯では難しいわ。実際、すでにふたりの容疑者がいるわけだし。だから、バックになにかしらの組織があるような気がするの。黒幕はふたりとは別にいるでしょうね」


よしこちゃんと目が合う。

今日も無精ひげが顔を出している。


「江梨子、大丈夫かな」


もしも、江梨子の身になにかあったら、って思うと・・・・・・。


「大丈夫じゃない?」


あっけらかんとよしこちゃんは言うと、サイドテーブルに置いたボトルからグラスに半分焼酎をそそいだ。


「どうして大丈夫だと思うの?」


「誘拐なら、身代金の要求がきているはずでしょう? 無差別殺人にしては用意周到だし、誰の死体も発見されてない」


「ちょっと」

死体なんて、ひどい。