「そんなっ。え、江梨子は!?」


あの男が死んだなら、せっかくの逮捕が!?

どうして、自殺なんて。


「ヤツが金をもらっていたのは確かだ。でも、渡していた男は、逮捕できなかった」


黙って結城から視線を落として自分のひざを見つめた。


「・・・じゃあ、これからどうするの?」


「あの男が死んだ以上、ヤツが松下江梨子を誘拐したという証拠はない。琴葉が財布を拾った時間の前後の、付近にある監視カメラを調べてみるしかない」


「・・・・・・」


不安げな私の顔に気づいたのだろう。


「約束はできないけど、全力で捜査するから」


そう言って、結城は私を見た。

その表情が、いつもよりやさしく見える。



少しだけホッとしたような気がしたけれど、心は闇に染まるよう。