そんな!?


「松下江梨子は、あの場所に財布を置いて失踪したんだ」


口をおさえている手が震えだした。


「じゃあ、じゃあ・・・・・・、私がもっと早く見つけていれば江梨子は」


コンビニなんて行かずに、あたりを探していたら。

あれが江梨子の財布だって、すぐに気づいていたら。

江梨子は失踪せずに済んだの?


「違う。琴葉、違うんだ」


鼻が痛くなり、はらはらと涙がこぼれた。


「う・・・・・・」


どうしよう。

どうしよう・・・・・・。


「聞け、琴葉。この犯人は、かなり用意周到だ。ひとりになる機会を狙って彼女たちを連れ去っているとみている」


「でも、でも」


「これは失踪、というよりも連続誘拐事件だと警察はみている。琴葉の気持ちはわかるが、お前のせいじゃない。どうしようもなかったんだ」


「でもっ!」


私は結城を見ようとがんばったけれど、涙でぼやけてしまっている。